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弁護士加藤英典のブログ

埼玉県所沢市の弁護士のブログです。

「野々村元県議を強制出廷へ、神戸地裁が勾引状」

詐欺罪等で在宅で起訴された元県議会議員の被告人に対して、神戸地方裁判所が勾引状を発布したと報道されています。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2685827.html
捜査中に逮捕・勾留されている被疑者が公判請求された場合、通常は、起訴後も勾留されます。この場合は、公判が終わって判決を言い渡されるまでは、被告人は拘置所等に収容されています。これに対して被疑者が逮捕・勾留されていない場合、通常は公判請求後も身体を拘束されません。この場合を実務上「在宅」と呼んでいます。被告人は公判が継続している間も普通に生活をし、公判期日が行われるときには自宅から裁判所に出頭します。
ところが、在宅の被告人が公判期日に出頭しないことがあります。被告人が出頭しないと審理をすることができませんから、被告人が出頭しないおそれがあるときには、裁判所が勾引状を発布します。勾引は、捜査のときの逮捕と同じような手続です。おそらく公判当日の朝に検察事務官や警察官が被告人の自宅を訪れます。最初は任意の出頭を促すでしょうが、被告人が任意に出頭する様子がないのであれば、強制的に出頭させます。これは国家権力の行使ですから、被告人が「出頭したくない」と泣き叫んでいても、警察官らが被告人を分捕まえて自宅から引き出してでも裁判所に連れて行きます。
実は、在宅の被告人が公判期日に出頭しないことはよくあります。特に、捜査中からずっと在宅の事案ですと、事件発生から第1回公判までにかなり日数が経過していることがあり、被告人本人が「あの事件はもう終わったこと」と勝手に思い込んでしまい、裁判所からの呼出状等を無視してしまうことがあるのです。ですが、被告人が公判を欠席しても、いきなり勾引ということは通常はありません。裁判所としても、できるだけ強制的な手続はとりたくないので、様々な方法で出頭を促し、それでも何回も公判を欠席されたときにやむを得ずに勾引状を発布します。私も自分が国選弁護人を務めた事件で被告人に勾引状を発布されたことがありましたが、被告人が公判を4回欠席し、その間被告人が裁判所・検察庁・弁護人と連絡をとれず、やむを得ずに第5回公判の際に勾引状が発布されました。
今回の事案は、被告人が第1回公判を欠席し、第2回公判の際に勾引状が発布されたということですから、実務上は珍しいケースと思います。第1回公判後に更新された被告人本人のブログの内容等も考慮して、次回公判に出頭しない可能性が高いと裁判所が判断したのではないでしょうか。